この記事は、介護福祉士として働いてきて、次の転職では「求人と違った」と後悔したくない人に向けて書いています。
休憩の合間にスマホで求人を開き、月給や休日の数字を見て「ここなら」と思う。けれど、その数字が入職後の自分の働き方と同じかどうかは、求人ページだけでは分かりません。
前の職場で「聞いていた話と違う」と感じたのに、自分の確かめ方が甘かったのかと誰にも言えずにいる人もいると思います。
仕事内容・勤務・休日・給与に分け、求人票・面接での回答・採用時の書面の3つで同じ項目を突き合わせてください。
給与の内訳や、残業・シフト・職場の雰囲気のように求人票から読み取りにくいことは、面接と職場見学で直接聞いて確かめます。
私自身も転職のとき、基本給と手当の内訳は求人ページだけでは分かりにくいと感じました。だからこの記事では、求人票に書かれていないことをどこで聞くかまで書きます。
記事の前半には条件ごとに確かめる場所の早見表と書き込める照合表を置き、後半には面接で聞く質問と入職後の相談先をまとめました。
介護福祉士の転職で失敗と感じやすい条件のずれと、入職前に確かめる場所
筆者の見解では、条件のずれを減らす方法は、条件の項目と確かめる資料を分けて突き合わせることです。仕事内容・勤務・休日・給与の4つに分ければ、どの資料で何を見ればよいかが決まります。
この記事で扱うのは、入職前に求人票・面接・採用時の書面で確かめられる条件のずれです。人手に関わる業務量や人員の配置は、面接の質問の節で扱います。体力面の負担と教育体制は、この記事では扱いません。
4つの条件ごとに、どこで確かめれば答えが出るかを並べた早見表です。
| 条件の項目 | 確かめる問い | 求人票 | 面接 | 職場見学 | 採用時の書面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 仕事内容 | どの業務を、どこまで担当するか | ○ | ○ | - | ○ |
| 勤務(残業・シフト・夜勤) | 残業はどのくらいか、シフトと夜勤の回数はどう決まるか | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 休日 | 休日の数と、希望休の出し方はどうなっているか | ○ | ○ | - | ○ |
| 給与(基本給・手当・賞与) | 基本給と手当の内訳、賞与は何を元に計算するか | ○ | ○ | - | ○ |
職場の雰囲気や人間関係は4つの条件の外にあるため、表には入れず、面接と見学の節で扱います。
表を使う前に、4つのうち譲れない条件を決めておきます。決めた順に照合表の行を並べると、応募先を比べるときの迷いが減ります。
仕事内容・勤務・休日・給与のうち譲れない条件を先に決める
応募の前に、4つの条件を「譲れない条件」と「妥協できる条件」に書き分けます。何を優先するのが正解かは人によって違うため、ここでは順位の付け方だけを示します。
- 4つの条件を紙かメモに書き出す
- 今の職場で変えたい条件に印を付ける
- 印を付けた条件を譲れない条件にする
- 残りを妥協できる条件にする
- 譲れない条件を照合表の上の行に置く
求人票・面接の回答・採用時の書面(労働条件通知書)を同じ項目で照合する
応募先ごとに、条件の項目を行に、求人票の記載・面接での回答・採用時の書面の記載を列に置いた照合表を作ります。
3つが一致しない項目と、どの資料にも書かれていない項目には印を付けます。印の付いた項目が、入職前に聞く項目になります。
この記事では、採用が決まったときに労働条件を書面で示されるものを「労働条件通知書」と呼んで話を進めます。次の照合表は、印刷するかメモアプリに写して、応募先ごとに1枚ずつ書き込んで使います。
| 行の項目 | 求人票の記載 | 面接での回答 | 労働条件通知書の記載 | 一致したか |
|---|---|---|---|---|
| 優先順位(譲れない条件) | ||||
| 仕事内容 | ||||
| 就業場所 | ||||
| 勤務時間・シフト・夜勤 | ||||
| 休日 | ||||
| 基本給 | ||||
| 手当 | ||||
| 賞与・昇給 |
面接での回答はその場でメモし、あとで書面と照らせる形で残します。
応募先が複数あるときは、同じ行の並びのまま、列を応募先に置き換えた比較表に写します。比べるときは、譲れない条件の行から横に見ていきます。
求人票の記載と労働条件通知書の違いを確認する
求人票と、採用時に労働条件を示す書面は別のものです。
ハローワークインターネットサービスの「求人情報の見方」は、求人情報や求人票は雇用契約書ではないとし、採用時には書面で労働条件の明示を受けるよう呼びかけています。
求人票は、応募先を選ぶための入口の情報です。照合表では求人票を1列として扱い、入職を決める前の最終確認は労働条件通知書で行います。
求人サイトの求人ページを見て応募する場合も、照合表での扱いは同じです。求人ページの記載は求人票の列に書き込み、採用時の書面の記載と並べて見比べます。
面接での回答を労働条件通知書の内容と照らす
面接で聞いた話は、採用時に書面で示された労働条件と1行ずつ照らします。照らす相手は面接の記憶ではなく、その場で取ったメモです。
厚生労働省のリーフレットによると、2024年4月からは全ての労働契約を結ぶときに、雇い入れ直後の就業場所・業務の内容に加えて「変更の範囲」も示すことになりました。
変更の範囲とは、将来の配置転換などで変わり得る就業場所・業務の範囲のことです。照合表の「仕事内容」と「就業場所」の行には、入職直後の内容と変更の範囲を分けて書き込みます。
求人票の昇給・賞与欄に書かれた実績を確認する
求人票の昇給・賞与の欄は、入職後に同じ額を受け取れる約束ではありません。
ハローワークインターネットサービスの「求人情報の見方」では、昇給と賞与の欄は前年度の実績で、採用後の待遇を約束するものではないと説明されています。
昇給・賞与の欄は、その職場で前年度にどうだったかを知る手がかりとして読みます。
自分に当てはめるときは、面接で賞与と昇給をどう決めているか、基本給に連動するかを聞きます。聞いた答えは、労働条件通知書と就業規則の記載で確かめます。
給与は総額でなく基本給と手当の内訳で比べる
筆者の見解では、同じ月給でも、基本給に入るのか手当で付くのかで意味が違います。求人票の総額だけで選んで、入職後に「思ったより増えなかった」と感じないように、内訳で比べます。
比べるときは、基本給と手当の内訳を応募先ごとに書き出します。あわせて、手当が賞与や残業代の計算に入るかどうかを確かめます。照合表の「基本給」と「手当」の行を、ここで埋めてください。
賞与の計算方法と残業代に含まれる手当を確かめる
残業代や深夜・休日の割増賃金の計算の元から外せる賃金は、労働基準法と労働基準法施行規則で次の7種類に限られています。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
面接では「残業代の計算に含まれる手当はどれですか」と聞き、手当の名前と一緒にメモします。
一方、賞与の計算の元を何にするかは労働基準法には定められておらず、就業規則や労働契約などで決まります。基本給だけを元にするのか、手当も含めるのかは、応募先ごとに違い得ます。
面接で「賞与は何を元に計算しますか」と聞き、答えを就業規則と労働条件通知書で照らします。
処遇改善加算が基本給と手当のどちらに入るかは入職前に聞く
確認するなら、在職中より入職前のほうがよいと考えています。面接では、次の2つを聞きます。
- 加算分は基本給と手当のどちらで支給されますか
- 配分のルールを職員に説明していますか
1つ目の答えは照合表の「基本給」と「手当」の行に書き込みます。2つ目の答えからは、配分について職員に説明する姿勢があるかが見えてきます。
加算の仕組みそのものは、処遇改善加算は給料にどう反映されるのか|介護福祉士が制度と現場から解説で詳しく書いています。
筆者は残業・シフト・職場の雰囲気を、面接と職場見学で確かめた
私は、残業やシフト、職場の雰囲気は、面接や職場見学で確かめました。この記事でも、求人票の記載で比べる段階と、面接と見学で実態を聞く段階を分けて進めます。
見学は、面接で聞いた残業やシフトの話を、実際の職場で確かめる機会として使います。次の質問リストを面接に持っていき、見学のときも同じ項目を頭に置いておくと、聞き漏れが減ります。
面接で仕事内容・勤務・休日・給与の未確認項目を聞く
面接では、照合表で埋まらなかった項目をそのまま質問に置き換えて聞きます。質問を仕事内容・勤務・休日・給与の順に並べておくと、照合表の行と対応させやすくなります。
- 担当する業務の範囲はどこまでですか
- 1日の業務量はどのくらいですか
- 日勤と夜勤は、それぞれ何人の配置ですか
- 残業はどのくらいありますか
- 残業はどんな場面で発生しますか
- シフトはいつ、どのように決まりますか
- 夜勤の回数はどのように決まりますか
- 希望休はいつまでに、どのように出しますか
- 基本給と手当の内訳はどうなっていますか
- 賞与は何を元に計算しますか
1〜3は仕事内容、4〜7は勤務の質問です。8は休日、9と10は給与の質問です。
質問の答えだけで職場の良し悪しが分かるわけではないため、答えはその場でメモし、労働条件通知書の記載と照らします。資格を活かせる求人の見方は、介護福祉士の求人|資格・業務・待遇の確認で整理しています。
求人サイト・転職エージェントは公式の条件と口コミを分けて見る
次の求人を探す段階や応募先を増やす段階では、求人サービスの評判を調べる前に、照合表で確かめる項目を決めておきます。どのサービスを使う場合も、応募先ごとに照合表の同じ項目を見ていきます。
求人サイトや転職エージェントを選ぶときは、公式に書かれたサービスの条件と口コミを分けて見ます。対象地域・連絡方法・利用の終了方法などは公式の条件です。
口コミには、書いた人がどんな条件で使ったかが分からないものもあります。条件が分からない口コミだけで、サービス全体を評価しないようにします。
連絡方法の変更と利用の終了は、別の手続きとして扱います。電話の回数を減らしたいのか、利用自体をやめたいのかを分けて、サービスの公式の案内で手続きを確かめてください。
サービスを公式の条件で比べたい人は、介護転職サイトの選び方|求人サイトと紹介型の違いを比較に進んでください。
筆者は求人サイトで自分のペースで探せたが、絞り込みは少し手間だった
私は2018年の転職で、求人サイトを使って自分で求人を探しました。地域や条件で絞り込んで、気になる求人を見比べました。応募も求人サイトから自分で行いました。
求人サイトは、自分のペースで探せました。一方で、求人の数が多く、自分の条件に合うものへ絞り込むのは少し手間でした。
入職後に「求人と違う」と感じたら、求人票と労働条件通知書を比べる
すでに入職して違いを感じているなら、まず「どの項目が、どの資料と違うか」を書き出します。印象としての違和感と書面の上での違いを、ここで分けておきます。
書面と違う労働条件は、職場の外の相談先に相談できます。書面に書かれていない不満は、職場の中で確認するところから始めます。辞めるかどうかは、違いを書き出して相談してから考えても遅くありません。
求人票・面接メモ・労働条件通知書を手元に揃えて違いを書き出す
「聞いていた話と違う」を項目と資料の組み合わせで言える状態にしてから、職場に確認します。まず次の資料を手元に揃えます。
- 応募時の求人票(保存していなければ探せる範囲で)
- 面接で聞いた内容のメモ(無ければ覚えている範囲で書き出す)
- 労働条件通知書
- 就業規則
- 給与明細
明示された労働条件と実際の条件が違うときの相談先
示された労働条件と実際の条件が違うときは、公的な相談窓口に相談できます。どこに相談するかは、違いの内容で選びます。
違いの内容ごとの相談先を、厚生労働省の案内にもとづいてまとめた表です。
| 相談先 | こんなときに | 相談の受け方 |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー | どの分野の問題か分からない、法令に直接違反しない労働条件の変更 | 面談または電話、予約不要・無料 |
| 労働基準監督署 | 賃金・労働時間・解雇などの法令違反の疑い | 最寄りの労働基準監督署 |
| 労働条件相談ほっとライン | 平日の夜間や土日祝日に電話で相談したい | 電話 |
| ハローワーク | ハローワークの求人に応募して、求人票と実際の条件が違う | 最寄りのハローワーク、ハローワーク求人ホットライン |
総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などに置かれています。解雇・配置転換・賃金の引下げ・募集・採用など、あらゆる分野の労働問題の相談を受けています。
労働基準法などの法律に違反する疑いがあるときは、労働基準監督署など指導の権限を持つ部署に取り次がれます。
相談するときは、前の節で揃えた求人票・面接メモ・労働条件通知書・就業規則・給与明細と、違いを書き出したメモを持っていきます。資料があれば、どの項目がどう違うかを相談員に伝えやすくなります。
よくある質問
本文で答えきれなかった疑問を5つ取り上げます。
求人サイトと転職エージェントは、どちらで探せばよいですか?
どちらか一方が優れているとは比べられません。どちらを使う場合も、応募先ごとに照合表の同じ項目を確かめます。私は求人サイトで自分で探して応募しましたが、それが誰にとってもよい方法だとは考えていません。
サービスを選ぶときに見る公式の条件は、上の「求人サイト・転職エージェントは公式の条件と口コミを分けて見る」で整理しました。公式の条件で比べたい人は、介護転職サイトの選び方|求人サイトと紹介型の違いを比較を参考にしてください。
介護の職場を辞めた人は、勤め始めてどのくらいで辞めていますか?
介護労働安定センターの令和4年度「介護労働実態調査」(事業所調査)によると、1年間(令和3年10月1日〜令和4年9月30日)に離職した介護職員の勤務年数は次のとおりでした。1年未満が34.9%、1年以上3年未満が26.4%、3年以上が38.8%です。この集計は勤務年数の内訳で、辞めた理由は分かりません。
早く辞めたことを、個人の失敗と決めつける必要はありません。求人と実態の条件のずれは、入職前の照合で減らせる部分です。
処遇改善加算の区分が上の事業所を選べば、給料は上がりますか?
区分だけでは判断できません。加算があるかどうかと、自分の手取りがどう変わるかは別の話です。
筆者の見解では、区分よりも、加算分が基本給と手当のどちらで支給されるかと配分を職員に説明しているかを確かめるほうが、判断の助けになります。面接で聞く質問は、上の「処遇改善加算が基本給と手当のどちらに入るかは入職前に聞く」にまとめています。
入職前に労働条件通知書をもらえないときは、どうすればよいですか?
まず、労働条件を書面で示してもらうよう応募先に依頼します。ハローワークインターネットサービスの「求人情報の見方」も、採用時には書面で労働条件の明示を受けるよう呼びかけています。
依頼しても示されない場合は、総合労働相談コーナーなどの公的な相談先に相談できます。書面を受け取るまでは、入職を決めずに待つのが安全です。
入職後に辞めたくなったら、退職の申し出方はどの書類で確かめますか?
労働条件通知書と就業規則で確かめます。通知書では契約に期間の定めがあるかを、就業規則では退職の申し出の手続きがどう決まっているかを見ます。辞めてよいかどうかは個別の事情によるため、ここでは判断しません。
民法では、期間の定めのない雇用はいつでも解約を申し入れられ、申し入れの日から2週間がたつと終了すると定められています。期間の定めのある契約は、これとは別のルールになります。書面に書かれた条件と実際の条件が違う場合は、上の「明示された労働条件と実際の条件が違うときの相談先」に戻って相談先を選んでください。
まとめ
求人と入職後の実態のずれは、確かめる順番を決めておくと減らせます。
- 譲れない条件を決める
- 応募先ごとに照合表を作る
- 基本給と手当の内訳、賞与の計算方法を聞く
- 残業・シフト・雰囲気を面接と見学で確かめる
- 労働条件通知書を受け取ってから入職を決める
すでに入職して違いを感じている人は、資料を揃えて違いを書き出し、内容に合う相談先を選んでください。
